クリス・アンダーソン著『フリー』、邦訳発売前に無料で全文公開
2009年11月12日
米『ワイアード』誌の編集長で、世界的ベストセラー『ロングテール 「売れない商品」を宝の山に変える新戦略』(邦訳早川書房)でも知られるクリス・アンダーソンの新著邦訳『フリー <無料>からお金を生みだす新戦略』が、11月26日にNHK出版より刊行される。
これに先立ち11月13日から期間限定で、先着1万人に本書の全編が無料公開されることになった。特設サイト『フリーミアム.jp[freemium.jp]』にアクセスし、メールアドレスかtwitterのアカウント名などを入力して、簡単なアンケートに答えると、サイト上で閲覧可能になる。
なお、「フリーミアム」とは、「フリー」(無料)と「プレミアム」(有料)の2つを組み合わせたビジネスモデルを指す造語。本書巻末付録(2)の「フリーミアムの戦術」には、フリーミアムの4種類のモデルとして「1. 時間制限」「2. 機能制限」「3. 人数制限」「4. 顧客のタイプによる制限」が挙げられている。邦訳全編の無料公開もまた、本書のテーマであるこのフリーミアム戦略に基づくものだ。
内容への興味もさることながら、大手出版社の新刊としては異例の全編無料公開という戦略が果たしてどんな成果や影響をもたらすかにも注目していきたい。Amazon.co.jpではすでに予約受付が始まっていて、12日23時の時点で総合ランキング18位につけている。
WIRED VISIONでも、今年3月の翻訳記事『「無料経済」時代に儲ける方法:Wired編集長が語る新著』で紹介していた。また、YouTubeのWired公式チャンネルには、著者が自ら本書をPRするビデオがアップされている。
ちなみにこのクリスさん、カメラを搭載したラジコン偵察機を自作して、原子核を扱う国立研究所の上空で飛ばし、ちょっとした騒動を起こす(日本語版記事)というやんちゃな一面も持つ。
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