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高森郁哉の「ArtとTechの明日が見たい」

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容量500GBのホログラフィックディスク、1枚5000円で2011年に登場? 米GEの新技術

2009年4月28日


米General Electric(GE)社の研究開発部門子会社、米GE Global Research社が4月27日(米国時間)、DVDサイズで容量500GBを実現するホログラフィック・ストレージ・ディスク技術を発表した。現行のDVDやブルーレイディスク(BD)は盤面の表面にデータを保存するのに対し、ホログラフィック技術ではディスク素材全体に立体的にデータを記録する(上の動画で確認できるように、ディスクが半透明になっている)ことで、大幅な容量増を可能にする。

500GBというと、DVDの約100枚分、BDの20枚分に相当する(それぞれ単層ディスクとの比較)。同じ技術で将来的には1テラバイト(TB)以上も可能だとしている。高精細の映画コレクションを1枚にまとめる、将来の家庭向け3D映像コンテンツを保存するといった用途を想定しているようだ。

互換性の面でも期待が持てる。読み書きを行なうハードウェアもディスク規格も現行の光ストレージ技術とよく似ているため、ホログラフィック・ディスクを再生するプレーヤーでCDやDVD、BDの再生もできるはずだという。

リリースでは発売時期や価格について言及されていないが、The New York Timesの記事には、「GE社は2011年か2012年の発売を見込んでおり、同社の技術を使ったホログラフィック・ディスクはその頃1GB当たり10セント以下になっていると予想する」と書かれている。ということは、500GBで50ドル、約5000円。もっとも、最近では1TBのハードディスクが1万円切っていたりするから、驚くほどの価格でもないか(2~3年後にはさらに値下がりしているだろうし)。

現行BDを超える次世代大容量ディスクの開発では、やはりホログラフィック技術を使い300GBディスクの業務向けシステムを開発している米Inphase Technologies社や、イスラエルのMempile社による赤色レーザーを使った容量1TBの『TeraDisc』があるが、いずれも発売には至っていない。

開発に成功した次世代光ディスクが実際に市販され普及するかどうかは、まずメーカー間での交渉を経て業界標準として策定され、さらにコンテンツホルダーの映画業界やゲーム業界からも賛同を得られるかどうかにかかっている。Inphase社のホログラフィック技術には任天堂が共同出願し、将来のゲーム機に採用するのでは、という昨年の報道もある。Cinema Blendの記事が書いているように、『Xbox 720』や『PlayStation 4』の登場も2011年頃と予想されているので、もしかしたらホログラフィック・ディスクに最初に対応するハードは次世代ゲーム機になるのかもしれない。

追記:GE社の日本サイトからリリースの和訳が出ました。

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プロフィール

フリーランスのライター、翻訳者としての活動を経て、2010年3月、ウェブ・メディア・地域事業を手がける(株)コメディアの代表取締役に。多摩地域情報サイト「たまプレ!」編集長。ウェブ媒体などへの寄稿も映画評を中心に継続している。

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