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高森郁哉の「ArtとTechの明日が見たい」

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CGアニメ版『鉄腕アトム』続報:邦題は『ATOM』、ゲーム化も進行、さて3Dは?

2009年4月 7日

間がいいのか悪いのか、前回のエントリ「『Astro Boy』(CGアニメ版アトム)の新予告編と、気になる3D方式の話」を書いた翌日の今日(4月7日)、この映画の日本公開に向けたプロモーションが本格始動した。手塚治虫の原作漫画『鉄腕アトム』によると「2003年4月7日がアトムの誕生日」で、それに合わせたとのこと。

まず日本での公開タイトルは『ATOM』に決定。日本で配給を行なう角川エンタテインメントが公式サイトを立ち上げたほか、日本向けの予告編(米国向けより短い)も一部ネットメディアに掲載されている(オリコンなど)。

関係各社で配給に関する詳細も具体化してきたのだろうと考え、昨日の記事で話題にした3D上映はどうなのか、直接問い合わせてみた。

まず、角川エンタテインメントの担当者に話を聞いた。日本では3D(ステレオスコープ)方式はなく、通常の2D(スタンダード)版の上映になるということだった。公式サイトや他社の報道にも言及がなかったので予想はしていたが、やっぱりそうだったか……。なお、公開時期は10月に決まっているが、米国公開の10月23日に合わせるかどうかはまだ決定していないとのこと。さらに、北米での上映もスタンダード版のみになる、という話もうかがった。

では、米メディアやWikipediaの3Dの話はなんだったのか。映画を製作しているImagi Animation Studios社の日本拠点となるイマジ・インターナショナル・ジャパンの小林氏に尋ねたところ、もう少し詳しい話を教えてもらえた。

同氏によると、「ステレオスコープ版の製作は実際に行なっている」という。ただし、日本配給の角川エンタテインメント、北米で配給するSummit Entertainment社との『Astro Boy』配給契約が、いずれもスタンダード方式のみでの上映ということになったため、製作もスタンダード版を優先して進めているのだそうだ。3D方式での上映は劇場の数が限られるし、2Dと3Dの並映となるとそれだけコストもかさむので、世界的な不況の影響もあって、配給側がスタンダード上映に絞ったのは現実的な判断だったろうと理解できる。

ただし、3D方式での上映が完全になくなったわけでもない。小林氏によると、同社は来年以降の配給契約獲得を見込んで3Dバージョンの製作も引き続き進める予定で、内容も今年公開の作品とは異なるものになる可能性が高いという。「今年末から来年4月あたりにかけて、関係者向けのサンプルリールができてくる見通し」なので、そのころに3D配給に関して新たなニュースをお伝えできるかもしれない。

以上の話をまとめると、こういうことになる。

  • 今年配給される『Astro Boy』(邦題『ATOM』)はスタンダード版のみの上映で、3D上映は無し
  • 来年以降、『Astro Boy』の3Dバージョン(内容も変わる可能性大)が配給される可能性はある

したがって、今年の3D映画のリストに『Astro Boy』を含めていた米メディアの記事は、残念ながら間違いだった。とはいえ、スタンダード版の興行成績が3D版の配給契約に影響するであろうことは確実なので、アトムが世界で人気を博して大ヒットとなり、日本発コンテンツの海外での評価がさらに高まると同時に、それが3D上映の後押しになることを大いに期待している。

最後にもうひとつ、『Astro Boy』のゲーム化も映画公開に合わせて進行している。Imagi社とパブリッシング契約を結んだ米D3Publisher of America社の親会社は日本企業のディースリーなので、詳しい情報はないかと問い合わせてみたが、開発はやはり米拠点で進められているため、現時点で詳細は不明とのことだった。ただし、ゲームサイト『IGN』のページによると、タイトルは『Astro Boy: The Movie』で、プラットフォームはXbox 360、PlayStation 2、PlayStation 3, Wii、PC、Nintendo DS、PlayStation Portable、米国と英国での発売は12月30日となっている(日本での発売時期は記載なし)。

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プロフィール

フリーランスのライター、翻訳者としての活動を経て、2010年3月、ウェブ・メディア・地域事業を手がける(株)コメディアの代表取締役に。多摩地域情報サイト「たまプレ!」編集長。ウェブ媒体などへの寄稿も映画評を中心に継続している。

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