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高森郁哉の「ArtとTechの明日が見たい」

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プロデューサー/kbの朝本浩文氏にインタビュー:初ソロCDとリリースLiveを語る

2008年11月22日

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朝本浩文氏は、かつてAUTO-MODやMUTE BEATといった伝説的なバンドにキーボーディストとして参加。その後、THE MODSや沢田研二など大勢のアーティストのツアーやレコーディングをキーボーディストとしてサポートしたり、UAやTHE BOOMなどのプロデュースを手がけたほか、DJとして活動していることでも知られています。20年以上に及ぶ音楽キャリアにしては意外にも初というCDを11月5日に発売し、リリースライブも月末に行うという朝本氏が、メールインタビューに快く応じてくれました。

――まずアルバムを一聴してとても心地よい音楽だと感じ、その後繰り返し聴くほどに体に馴染んでくるように思いました。「Dr.Echo-logic」というソロの名義から想像するに、環境にとけ込む自然な音使い、体に優しく響く音楽といったものがコンセプトとして制作当初からあったのでしょうか。

そうですね。実は、ボク自身の作品っていうのは、ramjamworld名義のリリース以来もう、6年ぶりくらいになるのですが、その頃 から含めて、ずっと、結構ビシバシしたドスの効いたサウンドに傾倒し続けていたんで、久々のリリースということもあり、このあたりでちょっと、一息ついてみようかなっていう気分になって、こういう、ちょっと優しいタッチの、ゆるやかな作品を作ってみたくなった、というのはあります。

――『PIANO×DUB』というアルバムタイトルは、全曲に共通するテーマにもなっていて、主役のピアノがメロディーを奏で、それをダブのアレンジでサポートするという趣向になっていますね。こうしたスタイルで統一したのはなぜでしょう?

自分のルーツを見つめてみたっていうのはあります。生まれて初めて音楽と向かい合うきっかけとなった“ピアノ”、そして、アーティストとして活動を始めた自分にとても大きな影響を与えた“ダブ”、その二つが自分の音楽にとってとても大きなルーツになっているからです。

――個人的に特に好きなのが2曲目の『HEAVY SWEET DUB』で、ベートーベンのピアノソナタを思わせる詩情豊かな演奏に、ゆったりしたドラム、ストリングス系のシンセ、ベースが寄り添うような構成ですよね。ピアノのしっとりした音色の美しさを現代的な視点で改めて見つめ直すというか、さらに言うなら、伝統的なピアニズムの魅力と、エコーやリバーブなど空間系エフェクトの普及とともに成立した比較的新しいサウンドであるダブとの、新旧の音楽的要素のコントラストを提示しているように思ったのですが、そのへんはいかがでしょう?

ピアノの伝統的な美しさと先鋭的なダブサウンドの融合、もちろん、全曲を通してのテーマとして考えていました。

――10曲中、カバーが2曲(セルフカバーの『AFTER THE RAIN 2008 VIP DUB』を除く)あって、ヴァンゲリスの『BLADE RUNNER』 (映画『ブレードランナー』のエンディングテーマ)とロキシーミュージックの『AVALON』という、どちらも80年代のイメージが強い曲です。調べてみたらどちらもリリースは1982年だったんですが、この時代の音楽に特に思い入れのようなものがあるのでしょうか?

あ、、そうですか!!(笑)その頃はパンク、ニューウェーブ全盛で、自分は19歳。その頃の音楽って、おそらく潜在意識に深く刷り込まれているのかもしれませんね。あと、まぁ、どちらの曲も時代の強い匂いは放ちつつも、時代を超えるクオリティーを持った曲と、思っています。

――『ブレードランナー』というSF映画がらみで言えば、1曲目に『FUTURISTIC DUB SYSTEM』という曲もありますし、朝本さん自身に未来志向というか、新しいアイディアやテクノロジーなどを好む傾向があって、それが音楽にも反映されているという部分はあるのでしょうか。

そうですね。ドラムンベースとか作っていると、そのコンピューターを駆使したプログラミング、グルーヴ感、その中に潜む原始的なエネルギー、未来的なアイディア、その、何千年にも渡るようなミクスチュアにとても魅力を感じてるっていうのはあります。

――テクノロジーがらみでちょっと脱線させてください。朝本さんが『iPhone』ユーザーだと先日知りましたが、ワイアードでもよくiPhoneの話題を扱っていることもあり、何か個人的に工夫している使い方ですとか、気に入ったアプリなどがあったら教えてください。

すいません。。。アプリはまだあんまり駆使できてません。Google Mapsとリンクしてる『食べログ』は、とても便利ですね。

――なるほど、朝本さんのブログでも結構グルメの話題が多いですものね。すみませんでした、では話を戻して、アルバム制作に使用した主な機材を教えていただけますか。

ホストアプリケーションは、Mac Proの『Mac OS X』上で『Logic Pro』を使ってます。気に入ってるソフトウェアは『Trilogy』。あと、アウトボードでやっぱり昔から欠かせないのは、『MiniMoog』、KORG『MS20』、Rolandのスペースエコー『RE201』とかですね。

――1人で作り上げたアルバムに対し、11月29日のリリースライブ(@舞浜クラブ・イクスピアリ)には、MUTE BEAT時代の盟友である屋敷豪太さん(ドラム)やVJなどのゲストが加わるそうですが、どんな感じのライブになりそうですか?

やはり、このアルバムのテーマでもある、原始的なものと近未来的なもの、ソフトなものとハードなもの、アッパーなものとダウナーなもののミクスチュア、そういった世界観を表現することになると思います。Macは、DJ仲間のType-Dと、ボクの2人。あと、パーカッションとサンプラーを“Bonobos”の松井君が担当します。あと、ひょっとしたら、ボクはアコースティックピアノも弾くかもしれません。VJは、Savkaに任せているので、今ちょっとボクからは説明できません。曲のBPM(1分当たりのビート数)とか、そういった資料は渡してあります。

――最後に、今後の予定や活動の目標について教えてください。

懐かしくて新しい、タフなグルーヴと音楽を作り続けます! あと、マンスリーで三宿WEBで、『Echo-Logic-Camp』っていうイベントやってます。こっちもよろしくです。

――本日はどうもありがとうございました。


参考サイト:
『PIANO×DUB』 CDの収録曲試聴と購入 GRAND GALLERY-JAPAN
ライブ情報(11/29)・チケット予約 クラブ・イクスピアリ
朝本浩文Blog 「Jungle Fever


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プロフィール

フリーランスのライター、翻訳者としての活動を経て、2010年3月、ウェブ・メディア・地域事業を手がける(株)コメディアの代表取締役に。多摩地域情報サイト「たまプレ!」編集長。ウェブ媒体などへの寄稿も映画評を中心に継続している。

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