MTVとNYタイムズ、YouTube風の動画サイトを相次ぎ開設
2008年10月29日
旧メディアが遅まきながらYouTubeに対抗、というトレンドでしょうか。ケーブルテレビ・ネットワークの米MTV Networks社と、大手新聞紙の米New York Times社が今月、奇しくもほぼ同じ時期に、YouTubeに似た動画サイトを立ち上げました。
10月28日にオープンした『MTV Music』は文字通り音楽ビデオを専門とするサイトで、視聴回数やユーザー評価によるランキング表示に、コメント投稿、ブログなどに動画を埋め込めるHTMLタグの提供など、まさにYouTubeをお手本にしたような作り。また、ユーザーによる投稿も受け付けるようです。
一方のNew York Timesの動画サイトは、10月24日にリニューアルされました。MSNBCと提携して放送しているニュース動画がメインのようで、動画の選択はジャンルによる絞り込みか、視聴回数順、キーワード検索から。埋め込みタグも提供しているものの、ユーザー動画やコメントの投稿機能はなし。
いずれも、オフラインからオンラインへ、テキストから動画へという、メディア利用の大きな流れに対応しようとする旧メディアの試みと言えるでしょう。YouTubeはすでに圧倒的なユーザー基盤を築き、まだ広告モデルによる収益化を果たしていないものの、親会社のGoogleが検索広告で培った技術と実績をいずれYouTubeにフル活用するであろうことは明らか。すでにネット広告の急成長にテレビや新聞の広告が影響を受けているわけで、さらに「動画広告でもGoogle一人勝ち」状態になる前に、自前のユーザーコミュニティを確保しておこう、という狙いのはず。
はたしてMTVやNYタイムズのサイトがYouTubeの独走に待ったをかけることになるのかどうか、また2社に続いて自前の動画サイトを立ち上げるメディア企業が出てくるのか、今後の動向が気になるところです。ただ、音楽ビデオだけとか、ニュース動画だけといった具合に、特定の分野に特化したサイトが乱立するようだと、結局「何でもありのYouTube」の優位は変わらないんじゃないか、という気もしますが。
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高森郁哉の「ArtとTechの明日が見たい」
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