S・キングのホラー新作、ビジュアルノベル形式で無料ウェブ配信
2008年7月29日
スティーヴン・キングの未発表ホラー短編『N』が、印刷媒体での発表(今年11月発売予定の短編集『Just After Sunset』に収録、コミック本のミニシリーズも2009年に発売)に先立ち、ビジュアルノベル風の動画でオンライン配信されることになりました。全25話の連載で、各話は約2分。7月28日(米国時間)に第1話の配信が始まり、8月29日までの平日に毎日、新エピソードが追加されます。
ストーリーは、ある精神科医が、受け持った患者のミステリアスで破滅的な強迫観念に自らもとらわれていく、というもの。公式サイトにて無料で視聴できるほか、このページの上にもある動画再生ウィジェットを個人のブログなどに埋め込むこともできます。さらに、iTunesストアでも5話セットで販売される模様。
プレスリリースには、キング本人のコメントも掲載されています。
「私は常に、ストーリーを配布する新しいシステムに関心を持っている。また、そうしたシステムが旧来のストーリーテリングの真理にどのように作用するのか、いつも好奇心をそそられる。今回は、私が見たところ、非常にうまく作用しているようだ」
キングの小説とデジタル配信といえば、電子書籍『Riding the Bullet』の大成功(日本語版記事)が思い出されますが、あれって2000年のことだったんですねえ。この過去記事は「オンライン電子出版が離陸」と題されていますが、1年ぐらい前までは「予想より伸びない」という感じだったのではないでしょうか。ソニーのリブリエも生産終了してしまったし。もっとも米国では、昨年11月に発売されたAmazonの『Kindle』が好調(日本語版記事)という話もあり、Kindleの日本発売があるのかどうかも含め、電子ブック市場の動向も気になります。
今回の『N』のメディアミックス的な展開も、出版業界や読者から注目を集めることは間違いありませんが、小説の新しいマーケティング手法として業界にインパクトを与えるのかどうか、期待を込めて見守りたいところです。
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高森郁哉の「ArtとTechの明日が見たい」
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