トム・ヨークの顔をグルグル回せる:Radiohead最新PVの3Dデータとツールがオープンソース公開
2008年7月15日
ロック/ポピュラーミュージックのシーンをリードしてきた楽曲の革新性だけでなく、アルバム価格を購入者が決める「お布施方式」のダウンロード販売を敢行するなど、既存の音楽ビジネスモデルへのチャレンジ、インターネットの斬新な活用といった点でも注目を集めるRadiohead(レディオヘッド)。そんな彼らがまた、オンラインコミュニティへの新たなアプローチを提示しました。
話を進める前に、ここで『House of Cards』(アルバム『In Rainbows』の収録曲)のビデオを貼りつけておきましょう。
(メイキングビデオもあり)
このPVの制作では、カメラと照明を一切使わず、被写体の外形や相対距離のデータをレーザースキャナーで収集し、プログラミング環境『Processing』のツールを使って3Dマッピングとアニメーション化を行っています。ディレクターはZoo FilmsのJames Frost氏(過去にコールドプレイやノラ・ジョーンズのPVも制作。Zooのサイトで視聴できる)。
これだけなら単に目新しいビデオの1つ、で終わってしまうかもしれませんが、その先が面白い。PVに使われたトム・ヨーク(ボーカル)の顔とフロリダ郊外の地形の3Dマッピングデータ、それにProcessingツールのソースコードを、グーグルのオープンソース開発者向けサイト『Google Code』で公開したのです。つまり、映像制作のプロや志望者が、業界トップクラスの最新PVの素材とツールを無料で入手して、そのテクニックを学んだり、ツールを改良したりできるというわけ。さらに、これらを使って制作したオリジナル作品は、YouTube内に設けられた『House of Cards』専用グループに投稿して、関係者やネットユーザーにアピールすることも可能。
実際に映像を作るとなれば、それなりの知識に、相当の時間と労力が必要になりますが、もっとライトに楽しみたいという向き(僕もそう)にうってつけな「オモチャ」も用意されています。PVに使われた3Dマッピングデータをマウスでぐるぐる回したり、拡大縮小したりできるビューワーがそれ(上のキャプチャ画像)。静的な3Dオブジェクトをマウスで操作する体験というのはわりと一般的になっているけれど(『Google Earth』なんかがそう)、ツール画面下の三角の再生ボタンをクリックすると、なんと!
PVとそっくり同じにドットデータのトム・ヨークが歌い出し、しかもそれをマウスで自在に動かせる!!
これはけっこう感動モノです。ぜひお試しを。
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高森郁哉の「ArtとTechの明日が見たい」
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