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第26回 技術棟探訪 ~松下エコシステムズ探訪記(3)~

新工場の見学後に向かったのは、2004年に建設された技術棟だ。この技術棟をはじめ、構内では、さまざまな実験が日夜行われている。たとえば、風速20~30メートルの風雨の中(台風級!)で、換気扇から水が浸入しないかを調べる実験、バスルームやキッチンが舞台セットのようにまるごと設置されている試験室での耐久試験温度が50度前後で保たれ続けている部屋での高温耐久試験、機器の騒音具合をチェックする無音響室での実験などなど。ここまで徹底して換気扇の品質を追求しているメーカはほかにないという。

風雨実験を行う設備。換気扇を中央部分に設置して右側のノズルから水や風を浴びせる。

考えてみると、換気扇は外界と室内を隔てながら、きれいな空気と汚い空気を入れ替える役割を果たしている。ということは恒常的にハードな環境下で利用される運命にある。また何十年も使い続ける住宅設備の一部でもある。だからこそ耐久性が求められるし、これだけの実験設備が必要となるのだ。

キッチンが設置された実験設備。実験に使われた油の臭いがする。

いくつかの実験施設を見学後、最後に換気扇の耐久試験室にたどり着いた。ここでは、何百台もの換気扇を24時間365日回し続け、どのように故障が発生するのか調べているのだそうだ。しかも、そんなエンドレスの実験を耐え抜き、20年以上動き続けている換気扇があるという。その換気扇の場所に案内していただくと、他の換気扇の多くはクリーム色なのに、ひとつだけ水色の羽の換気扇が! そういえば、子供の頃に見かけた換気扇ってこんな色だった…。この水色の換気扇は、20年間、ずっとここで回り続けているのだ。

中央水色の羽の換気扇が、1985年から回り続けている伝説の一機。

「ここまで動き続けてくれれば、なんといっても開発者冥利につきますね。長く使い続けることがエコにもつながりますし」

こちらを案内していただいた経営企画グループ広報マネージャーの森林章広さんは、照れ笑いしつつ、しかし誇らしげにそうおっしゃった。

そういえば、技術棟の見学中、ときどきすれ違った研究者の方々は、みんな“鬼気迫る”といってもいいような真剣なまなざしで、データや製品の具合をチェックされていた。換気扇をはじめ、ひとつひとつの製品には、そういった開発者の方たちの熱意が込められている。だからこそ、何十年もずっと壊れずに動き続けているのだ。

今日のエコの芽
開発者の方の熱意がエコにつながる
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それは現場で起きている。

プロフィール

小林ミノル

スタッフライター。1975年大晦日生まれ。30歳を過ぎ、エコの大切さに遅まきながら気づきはじめる。取材を通して、ニッポン企業の“縁の下の力持ち的”な環境対策を世に広めたいと考えている。