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第27回 メダカハウスの効用 ~松下エコシステムズ探訪記(4)~

松下エコシステムズの敷地内には、屋内屋外問わず、いたるところに省エネ設備やエコ設備が設置されていた。トイレに行けば、雨水や中水が利用されているし、通路の蛍光灯は、その下を通ると自動的に点灯し、通り過ぎると自動的に消えてしまう。前回紹介した技術棟は、地下トンネルを利用した空調システムに加え、太陽光発電システム、屋上緑化などを取り入れた省エネビルとなっている。敷地には、社員の方が植樹・育成している木々もある。

通路を歩くと自動的に蛍光灯が点灯する。

社員の方が植樹・育成している木々。

緑化された技術棟の屋上。

技術棟の南壁面に設置されたソーラーパネル。

そういった数々の取り組みや設備を紹介していただきながら、続いて案内していただいたのが「メダカハウス」という設備。浄化設備に隣接しているこの「メダカハウス」では、浄化された工場排水の池の中をメダカや金魚、鯉が泳いでいる。同社の排水処理技術によってメダカが住めるほど工場排水がキレイに浄化されているのだ。

浄水設備に隣接しているメダカハウス。

中ではメダカや金魚が元気に泳いでいた。

松下エコシステムズグループは、換気分野に加えて、1970年代から水や土の浄化技術を開発し、水浄化事業や土壌浄化事業に進出している。たとえば、半導体・液晶工場向けの超純水製造・リサイクルや工場排水の浄化、バイオ技術を利用して有害物質を含んだ土壌や地下水を無害化する「バイオレメディエーション」と呼ばれる技法などなど。うかがうところによると、換気で培った技術が、これらの浄化事業にも応用されているそうだ。空気と土と水という人間が暮らしていく上でもっとも重要かつ基本的な要素を再びきれいにする役割を松下エコシステムズは担っている。しかも、松下エコシステムズのすごさは、そういった施設内にある環境事業や浄化設備の多くを自社開発している点だ。これは「環境技術立社」を標榜している企業ならではの特色だ。

今日のエコの芽
空気の技術を土や水に応用
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それは現場で起きている。

プロフィール

小林ミノル

スタッフライター。1975年大晦日生まれ。30歳を過ぎ、エコの大切さに遅まきながら気づきはじめる。取材を通して、ニッポン企業の“縁の下の力持ち的”な環境対策を世に広めたいと考えている。