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第20回 METECツアー同行記(2)

会議室での堤常固社長の挨拶と社員の方の説明の後、いよいよ工場見学となった。社員の方の解説を聞きながら、ライン別にカラフルに色分けされている作業現場を見学していく。

2階の見学コースを歩いていくと、まず目に飛び込んで来たのはピンクで統一されたテレビの解体ライン。1階のラインでは、作業員の人が筐体から四角い漏斗のようなブラウン管をひとつひとつ手作業で取り出していた。ブラウン管はその先ではさらにまっぷたつに分割されている。パネルガラスとファンネルガラスという2種類のガラスでできているブラウン管を再分割することで、再利用しやすくしているのだ。ブラウン管に熱を加えて割るこの技術は、松下グループが開発実用化したものでヨーロッパにも輸出されているという。

テレビの筐体からブラウン管を取り出している。

続いて水色の洗濯機のラインを見学する。ドラムの周囲に穴をあけている人がいる。何をしているのだろうと思ったら、バランスを取るために注入されている塩水を抜き出しているのだそうだ。しかもこの塩水は、水分をとばして塩の結晶になるのだという(現在のところ用途はまだ検討中とのことだが、塩水までリサイクルしようという熱意には感服してしまった)。塩水を抜かれた洗濯機本体は、ゴトゴトとベルトに乗って巨大な破砕機の中に送り込まれている。この巨大な青い箱のなかで、洗濯機は、細かく砕かれ、磁力・風力によってプラスチックと鉄類に分類されているのだ(破砕されている映像を見せてもらったが、かなりの迫力!)。

洗濯機が破砕機にまさに送り込まれようとしている。

そのまま隣の棟に移動すると、今度は黄色いエアコンラインと緑色の冷蔵庫ラインが通路の左右に広がっている。エアコンは、室外機と室内機がそれぞれ別のライン上で分解されている。コンプレッサーと熱交換器がそれぞれ破砕機に送り込まれ、筐体は洗濯機ラインに移動して破砕されるそうだ。冷蔵庫ラインでは、手作業で電源コードや庫内容器、コンプレッサーが取り出されていた。内部の部品を取り出された本体が、順に専用の破砕機に送り込まれている。

横倒しにされた冷蔵庫が破砕機に流れていく。

各ラインが一望できる2階から見ると、4種類の家電が整然とベルトに乗って移動し、分解されているように見える。大型家電がベルトに乗って巨大な破砕機に順に送り込まれる様はすごくシステマチックだ。

エアコンの室外機と室内機が別々に分解されていく。

ところが一旦控え室に戻った後、再度撮影のために特別に1階から見学させてもらうと、工場の別の側面が見えて来た。2階からではあまりわからなかったのだが、間近でみると、ラインに乗っている製品の種類が、大きさもメーカーも本当にばらばらなのだ。

形も大きさもバラバラの冷蔵庫。

コンプレッサーなど部品の大きさもバラバラだ。作業する人は、それをひとつひとつ分解し、選別していかなくてはならない。後でうかがったところによると、足がついている30年前に製造されたテレビ(!)なども引き取られてくるそうだ。その場合は、専用の台で解体するのだという。

冷蔵庫のコンプレッサーを分解している。

洗濯機からコンデンサーを取り出している。

整然とラインが動いているなかで、ひとつひとつの作業は担当者が製品にあわせて細かく判断して作業をおこなっている。瞬時に判断しなければならないから、作業する人の熟練度もきっと高くなくてはならないはずだ。METECは、無駄を排除したシステムと最先端の技術、そして臨機応変な人間の判断力のコラボレーションによって、成り立っている工場なのだ。

今日のエコの芽
リサイクルは技術と人の共同作業

見学通路に展示されていたもの

非鉄金属分離機。実際に試すことができる。

中身入りのまま回収された冷蔵庫(処理に困る)

分類して取り出された金属類も展示されていた。

「エコプロダクツ2007」の会場から持ち帰ったリユースザリガニオブジェ。

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それは現場で起きている。

プロフィール

小林ミノル

スタッフライター。1975年大晦日生まれ。30歳を過ぎ、エコの大切さに遅まきながら気づきはじめる。取材を通して、ニッポン企業の“縁の下の力持ち的”な環境対策を世に広めたいと考えている。