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関裕司の「サーチ・リテラシー」

検索の鉄人が、サーチの周辺事情とユニークなウェブビジネスを読み解く。

使えるサービスはユーザが迷わない

2007年9月20日

(前回の 関裕司の「サーチ・リテラシー」はこちら

ウェブの検索は言葉を用いる「キーワード検索」とそうでないものの二種類に分類される。言葉を使わないものの代表にディレクトリーサービスがある。Yahoo!カテゴリはその代表といってもいいだろう。トップ14カテゴリから降りていくと、目的のサイトにたどり着くというわけである。簡単ではあるが、欠点もないわけではない。カテゴリの種類が多すぎるのだ。他人が分類した情報を誰もが同じように使えるかというと、そうはなかなかいかないのである。

非常に難しい検索を、たった4つの質問に答えるだけで解決するサービスがある。シンボルマークの検索サイトだ。

Symbols.com

「?」や「@」なら誰もが名称を知っているので、その意味を調べるのはたやすい。しかしそのマークの名称がわからない場合、Symbols.com が活躍するだろう。このサイトの Graphic Index が用意している質問は次の4つだ。

  • 軸が1本の線対称か、複数本の線対称か、線対称ではないか
  • 線が開いているか、閉じているか
  • 直線か、曲線か、その両方か
  • 線が交差しているか否か

実に単純である。迷うことはまずない。具体的な例で試してみよう。例えばトヨタの自動車のマークはどうだろうか。想像してほしい。できればそれを手元の紙に描いてみてほしい。多分こんなことになってしまったのではないかな。まったく、想像だけでロゴマークを描くとロクなことがない。ここで正しいマークの形を確認しておこう。

さて、トヨタのマークを上記の4つの質問にあてはめてみると次のようになる。

  • 軸が1本の線対称(single-axis symmetric)
  • 線は閉じている(closed)
  • すべて曲線である(curved)
  • 線は交差している(crossing)

得られた結果はこのとおり。確かにトヨタのマークを見つけることができた。

Symbols.com では約2,500種のシンボルマークを扱っているが、たった4つの質問で適切な場所にたどり着く。大量にサイトが登録されているYahoo!カテゴリとはずいぶん違う印象を受けるが、実は4つの質問=4回のクリックでYahoo!カテゴリでも相当奥の方まで降りていける。印象の違いは「選択の容易さ」にあるのだ。

先日、gooラボから「5W1Hサーチ」という試みが発表された。人の疑問を5W1H(What、Who、When、Where、Why、How)に分けて検索してみようという提案だ。実に楽しい提案ではあるが、実際のところどこをクリックしようかと悩んでしまう。ユーザに「選択の容易さ」を提供するのはなかなか難しいものである。

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プロフィール

1963年生まれ。「検索の鉄人コンテスト」で優勝。40歳を過ぎて「ヤフー ジャパン」に転職。サーファー部の部長としてヤフー検索の精度向上の業務を日米共同で行う。現在はフリーで活動中。

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