このサイトは、2011年6月まで http://wiredvision.jp/ で公開されていたWIRED VISIONのコンテンツをアーカイブとして公開しているサイトです。

関裕司の「サーチ・リテラシー」

検索の鉄人が、サーチの周辺事情とユニークなウェブビジネスを読み解く。

懐かしいあのサイトを再訪

2007年12月20日

ここ数年の特徴としてブログやSNS、ソーシャルブックマークといったものが普及するにつれ、人気のウェブサイトやコンテンツが知れ渡るスピードが非常に速くなっている。急激に人気を集め、そして飽きられるのも速い。Web2.0などという言葉がまだなかった2000年頃はどうだっただろうか。この頃はまだブログはあまり一般的ではなく、人気のサイトはじわじわとファンを増やしたものだった。当時人気だった「彼ら」はいまはどうしているだろうか。長年ウェブに親しんでいる方なら覚えているだろうあのサイトを再度訪問することにした。

1998年にアメリカの学生であるエリック君が始めたサイト「Eric Conveys an Emotion」は「Happiness」や「Sadness」といった表情を演じた写真を掲載しているだけなのだが、閲覧者のリクエストに応じるようになってたちまち人気のサイトとなった。最初のうちは「stressed out(ストレスで疲れきった)」や「Perturbed(不安な)」といった単純なものだったが、リクエストする方も面白がって「Did I leave the oven on?(オーブンつけたままだった?)」「Getting a Papercut on Your Tongue While Licking an Envelope(封筒のノリを舐めたら紙で舌を切っちゃった)」「Emotion is illogical, Captain(感情は非論理的です、艦長)」といった具合にエスカレートしてくる。対応前のリクエスト一覧もあるので、次はどんなネタでやってくれるのだろうかと期待して何度も見にいったものだった。日本では2000年3月にINTERNET Watchで紹介されている。

さて、さすがに現在は更新されていないようだがその後エリック君はどうなったのか。大学を卒業してなんとYahoo!で働いているのだ。もしかしたら2003年のYahoo! PICKS で紹介されたのが縁で入社したのかもしれないね。

もう一人、懐かしい人のサイトを訪問してみよう。コスプレというレベルを超えて完全にそのキャラクターになりきってしまっている人がいる。Randy Constanさんもその一人で、彼のサイトが「The Home page of Peter Pan」だ。そう、ピーター・パンである。決して若くはないはずなのだが、全身緑のコスチュームで永遠の少年ピーター・パンになりきっている。童顔でマッシュルームカットということもあり、その姿はなかなか立派なもの。2000年当時からかなりの人気でCDは出しちゃうし、2001年にはWebby AwardsのWinnerにもなっている。「Weird(不気味な、奇妙な)」ってカテゴリだけどね。2002年にはテレビにも出ているようだ。

このピーター・パンおじさんのサイトにも何年も再訪していなかったのだが、なんと最近婚約をしたらしいという情報を Weekly Teinou 蜂 Woman で知って腰をぬかしそうになった。思わず彼女Twitterしちゃったくらいである。で、その婚約相手がDorothyさんというわけだ。いやはやこちらも文句のつけようのないキャラである。

今ではこのような楽しいサイトを見つけるのに del.icio.usdigg といったサービスのおかげでずいぶん楽になったものである。2000年の頃は海外のブログを丁寧に巡回して根気よくネタを探したものだった。その当時から今でも毎日チェックし続けているサイトを最後に紹介しよう。MetaFilter という community weblog である。なかなか掘り出し物が多くておすすめである。

フィードを登録する

前の記事

関裕司の「サーチ・リテラシー」

プロフィール

1963年生まれ。「検索の鉄人コンテスト」で優勝。40歳を過ぎて「ヤフー ジャパン」に転職。サーファー部の部長としてヤフー検索の精度向上の業務を日米共同で行う。現在はフリーで活動中。

過去の記事

月間アーカイブ