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木暮祐一の「ケータイ開国論II」

通信事業者のための情報サイト「WirelessWire News」から話題をピックアップし、モバイルサービス業界を展望する。

社内LANならぬ、車内LAN環境を構築?!

2011年2月22日

(これまでの 木暮祐一の「ケータイ開国論II」はこちら

 クルマ好きな私としては、自動車内にLAN環境を構築し、愛車を移動オフィス化することが昔からの野望だった。モバイルネットワークを活用した移動時の通信環境の構築は、かつてのDoPa(28.8kps)やPHSのPIAFS(32kbps)の時代から色々と試し、「移動しながら通信できることの素晴らしさ」を各所で常々伝えてきたのだった。さらにこれらを愛車にも搭載してしまって、車内でインターネットを操る環境を模索してきたのだが、この数年のモバイルWi-Fiルータなどの普及によって、これが気軽に実現できるようになり、同時に通信速度も格段と高速化し、通信料金も安価になってきた。大変うれしい限りだ。

 昨年末からはNTTドコモでLTEサービスも開始されたが、MMD研究所の調査では、安定して最速でデータ通信可能なのは、UQコミュニケーションズが展開するWiMAXサービスのようだ。UQコミュニケーションズでは、近日、何とも美しいWiMAXルーターも発売するように、モバイルWi-Fiルーターのラインアップには力を入れている。これらを使えば、簡単にWi-Fi環境を持ち歩くことができる。

 そういえば、と思い出して自宅内を物色したところ、UQコミュニケーションズのサービス開始時に入手していた「WiMAX Wi-Fiゲートウェイセット」が出てきた。AC電源が無ければ動作しないという、ちょっと厄介なモバイルWi-Fiルータセットだが、自動車には安定した電源があるではないか。

 さらに自宅内を物色したら、iPhone 4に機種変更してしまってSIMカードが入っていないiPhone 3Gも出てきた。この端末も回線契約こそ無いが、Wi-FiがあればiPod Touchのように各種アプリの利用を含め活用が可能だ。そこでWiMAX Wi-Fiゲートウェイセットを愛車内に固定設置して「どこでもWi-Fi」環境を構築すると共に、回線契約の無いiPhoneをカーナビ代わりに活用しようと考えた。

 さっそくこの週末に作業に取り掛かった。WiMAX Wi-FiゲートウェイセットはAC100V電源で動作する。DCアダプタを加工して電源確保してもよいが、いっそDC-ACコンバータをつなげて、愛車に100Vコンセントを用意してしまったほうが早そうだ。トランク内には自動車電話用に引き込んだ12V電源があるので、これにDC-ACコンバータを接続。そしてWiMAX Wi-Fiゲートウェイセット用のコンセントをこれに挿し、配線は目立たないようにカーペット裏などを回しながら車内に引き込んだ。ゲートウエイ端末はリアシート後ろのリアパーセルシェルフ上にマジックテープで固定。こういうところに取り付けるのは、直射日光が当たって機器に悪影響を及ぼしそうなので決してお勧めしないのだが、しかしリアウィンドウ越しに見えるごっつい通信機器がマニアックな怪しい感じをかもし出してくれて、なかなか良いではないか(笑)。


ゲートウェイ端末はリアパーセルシェルフにマジックテープで固定。これで車内無線LAN環境OK。すでにUQコミュニケーションズのラインナップからは落ちているが、この「いかにも通信機器」っていう感じの風貌がたまらないではないか!

 続いてiPhoneの固定だ。筆者は昔から自動車電話の設置の際に、車種別専用の自動車電話用コンソールを入手し、車内のインテリアを損ねないように配慮しつつ電話機等を固定している。自動車電話用コンソールなど、もはや国内では見かけることもないが、ヨーロッパにはいまだにこうしたニッチな製品を作り続ける工房があるようだ。筆者はいつもKUDA Phonebase社から購入している。

 さらに、この自動車電話コンソール上に、兵庫県のANY'S INTERNATIONAL社から入手したiPhone用のホルダをちょっと加工して強力両面テープで固定。ホルダはタテヨコ向きが変えられるようにして、ここにiPhone 3Gを鎮座させた。なお、このANY'S INTERNATIONAL社は、前述のKUDA Phonebase社の日本代理店でもあるので、自動車電話コンソールの取り扱いもされている。

 iPhoneには、カーナビ代わりになるアプリとして「全力案内ナビ」を仕込んでみた。車齢10年を超す我が愛車のカーナビはもはや地図が古くて使い物にならない。しかし通信式のモバイル用ナビゲーションなら地図も常に最新。今後のカーナビは通信が必須ですよね。このほか、車内におけるノートパソコンでの作業も快適になった。取材に出かけた際に空き時間を使って車内でパソコン作業することも多いので、この移動Wi-Fi環境はとっても重宝する。


運転席周りには自動車電話コンソールをあしらえ、ここにiPhone専用のホルダを固定。iPhoneへは常時電源供給できるように配線を取り回した。

 ということで、宅内に眠っている通信関連機器がある方は、休日のDIYを兼ねて、こうした有効活用などを試みてはいかがだろうか。なお、自動車内は直射日光が当たるし温度変化も激しい過酷な環境なので、各種通信機器の使用において保証されているものではなく、私も責任は持てません。あしからず。

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プロフィール

1967年東京都生まれ。携帯電話研究家、武蔵野学院大学国際コミュニケーション学部准教授。多数の携帯電話情報メディアの立ち上げや執筆に関わってきた。ケータイコレクターとしても名高く保有台数は1000台以上。近著に『図解入門業界研究 最新携帯電話業界の動向とカラクリがよ〜くわかる本』(秀和システム)など。HPはこちら

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