クリエイティブになるための準備体操(5) コーディネーションのためのリ・デザイン
2007年8月31日
僕らが大学1年生向けに行っている「課題発見演習」は、身の回りを見渡して問題を発見し、解決に導くプランをデザインしてプレゼンテーションしましょう、というグループ・プロジェクトです。
「課題」は教師から与えられるものだと思い込んでいた高校生が、大学生になったとたん、「課題を見つけてこい」と言われる。これはかなりショックらしく、最初はどう動けばいいか分からないようですね。
(余談ですが、わが国の産業社会もバブル以降、同じような状況にあるのではないかと思います)
しかし、「自分たちの環境」=「全体」をいくつかの切り口から要素やステップに分けること、個々の“状態”の背後には実現されなかった選択肢がいくつも横たわっているという考え方などを教えると、よちよち歩きながらも、自分たちで取り組みを始めてくれます。
スタートは「全体」から「問題」を切り出し、それをきちんと定義すること。それができれば、「もし~だったら」という別の方向に想像力を働かせることもできるようになり、さらにそれを実現するためのテクノロジーの選択や組み合わせを考えることもできるようになります。
問題解決を、分析から要素の再統合まで描く。こうなると、もはや「問題解決デザイン」というより、「コーディネーションのためのリ・デザイン(再デザイン)」と言ったほうがよいかもしれません。
講師:今泉洋 (武蔵野美術大学デザイン情報学科教授)
1951年生まれ。武蔵野美術大学建築学科卒。在学中より雑誌ライターとして音楽評論などを行い、卒業後、NHK-FMで音楽番組などを手がける。 1981年株式会社アスキーに入社。ニューヨーク駐在員、雑誌創刊企画、ハイテクラボ、海外書籍編集、パソコン通信サービス「アスキーネット」運営、インタラクティブソフト事業部などを経て1993年にコンサルタントとして独立。 家電、情報機器メーカーの研究所などで情報関連分野の研究プロジェクト、新製品開発に参画。1999年、武蔵野美術大学造形学部デザイン情報学科創設とともに着任、現在に至る。 |
携帯大学 web分校
過去の記事
- 参加型メディア論(4) メディアの面積を超えて2007年12月29日
- 参加型メディア論(3) ネットワーク時代の編集者2007年12月23日
- 参加型メディア論(2) 参加型メディアの本質2007年12月15日
- 参加型メディア論(1) 参加型メディアのはじまり2007年12月 9日
- ポスト・検索エンジン時代(5) セマンティックウェブ2007年12月 1日