クリエイティブになるための準備体操(4) 図的コミュニケーション
2007年8月24日
文字は記憶を呼び起こすうえで非常に強い力を持っています。
問題は、それがピンスポット的な想起の連鎖で意識を強く引っ張るために、その周りに広がる曖昧な意味の連鎖をつぶしてしまうことです。
これに対し、図的なコミュニケーションは、ソフトフォーカスな力によって、より周縁的な想起をもたらすように思えます。
たとえば、白い紙の上に十文字の線を引くと、人は「二つの軸で世の中を見てみよう」というふうに意識を誘導されます。
四角いハコを二つ作って中にコトバを入れ、その間を矢印で結ぶと、なんとなく矢印がいろんな意味を示すように見えてきます。
テキストを読み込めばこそ得られる気づきもありますが、図を眺めているうちに浮かんでくるアイディアだってあるはずです。
私たちはあまりに長く文字偏重の世界に生きてきたため、その束縛からなかなか抜け出られないのかもしれません。
けれど、「気づき」のように曖昧な広がりを持った可能性を扱うならば、図的コミュニケーションをもっと重視してもよいのではないでしょうか。
講師:今泉洋 (武蔵野美術大学デザイン情報学科教授)
1951年生まれ。武蔵野美術大学建築学科卒。在学中より雑誌ライターとして音楽評論などを行い、卒業後、NHK-FMで音楽番組などを手がける。 1981年株式会社アスキーに入社。ニューヨーク駐在員、雑誌創刊企画、ハイテクラボ、海外書籍編集、パソコン通信サービス「アスキーネット」運営、インタラクティブソフト事業部などを経て1993年にコンサルタントとして独立。 家電、情報機器メーカーの研究所などで情報関連分野の研究プロジェクト、新製品開発に参画。1999年、武蔵野美術大学造形学部デザイン情報学科創設とともに着任、現在に至る。 |
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