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合原亮一の「電脳自然生活」

環境問題から生き方まで、地球ととことん付き合う方法論を模索する。

【改訂版】福島原発安定冷却案

2011年5月31日

 以下は4月に書いた「福島第一原子力発電所安定冷却への提案」の増補改訂版である。福島第一原発に隣接する港を利用して、短期間に巨大な汚染水プールを構築し、循環冷却を実現すると共に、使用済み燃料プールからの放出は特殊シートによるバリアによって食い止めようという提案である。

 もう少し早くまとめたかったのだが、IT業界に身を置くだけでなく、有機農業を営む身でもあるので、農繁期とぶつかり遅れてしまった。また政府/東京電力に限らず、原発事故への対策案を募集している団体向けにまとめた提案なので、ここに掲載するのに適した文体ではないかもしれない。

 しかし改訂が遅れている間に、東電は1号機格納容器に注水することで圧力容器を水没させようとし、前回予想していた通りの失敗となってしまった。現在も先が見えない事故を収拾するためには、多様な知恵を集める必要がある。建設的な批判をいただいて、可能な限り実行可能性の高い提案にしたいので、そのまま掲載させていただいた。長文のため複数ページにわたるが、全文Wordファイルもここから取得出来る。

 もちろん、全く別な提案でも、より良い提案であればさらに良い。読者諸氏の忌憚無いご意見ご批判をいただきたい。


はじめに

 福島第一原発では引き続き放射能の放出が続いている。炉心及び燃料プール冷却のために注水している水が放射能を含んだ水蒸気となって環境に放出されているからである。また汚染水が増え続けており、直接または地下水を通じて海に放出されている可能性が高い。

 放射能放出を止める大前提として、循環冷却系の構築が不可欠である。しかし、公開されている情報から判断する限り、循環冷却系構築には以下の3つの大きな障害がある。

(1) 現場が高濃度の放射能に汚染されていること
(2) 放射能に汚染された大量の汚染水が存在していること
(3) 炉心自体が健全性を失い、燃料を水没させることができないこと

 この3つの障害に対応し、放射能を閉じ込めるために、本提案では以下の4点の実現を通じて、早期に放射能放出を食い止めることを提案する。なお本提案は、4月22日に行った提案の増補改訂版である。

(1) 汚染水の増加を食い止める
(2) 建屋の除染
(3) 炉心/燃料プールの安定冷却
(4) 破壊されたバリアの再建


本文目次

1.提案の骨子

2.具体的な提案
 1)港の一部を巨大な圧力抑制プール兼汚染水タンクとして活用する
 2)汚染水を炉心に循環させ、冷却することで汚染水の増加を防ぐ
 3)水で建屋内外を洗浄し、除染する
 4)汚染水を浄化する
 5)建屋を囲むバリアを構築する

3.本提案のメリットとデメリット
 1) 本提案のメリット
 2) 本提案のデメリット

4.具体的な工程
 1)取水路開渠入口などを塞ぎプールを作る
 2)プールの海水を排水する
 3)各建屋とプールを配管でつなぐ
 4)プール内の汚染水を処理するための配管を準備する
 5)プールに蓋をする
 6)建屋内の汚染水を必要に応じてプールに移す
 7)プールの水にホウ酸を加える

別紙 提案の背景と補足
 1.汚染水の排除は困難であり危険でもある
 2.除熱は自然冷却で可能である
 3.現在考えられている対策の問題点
 4.本提案の問題点
 5.本提案実施上の留意点

1.提案の骨子

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プロフィール

川崎重工業人事部・川重米国本社CFOを経てガリレオに参加。ガリレオの業務の傍ら、環境問題、食糧問題に関心を持ち、「電脳自然生活」を目指して有機農業で米、野菜を作る。

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