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合原亮一の「電脳自然生活」

環境問題から生き方まで、地球ととことん付き合う方法論を模索する。

福島第一原子力発電所安定冷却への提案(3)

2011年4月22日

(2)「具体的な提案」へ戻る

外部巨大圧力抑制プール構築案の個別の問題を検討した結果をまとめた。各ポイントを整理するごとに追加する。

○この提案の問題点

最大の問題点は、取水口を塞いでしまうため、既存の冷却系の回復をあきらめる点だ。しかし既存の冷却系は主要機器が汚染水に水没している状況だ。汚染水を除くことが困難であるだけでなく、汚染水が除去出来たとしても水没していた機器類が動く保証は無い。残留熱は発電時の1%もないので、除熱には大容量の冷却能力は必要ない。大量の汚染水と闘って時間を失うより、より簡単な方法で冷却能力を再構築する方が有利と判断した。

○海水を冷却に使うべきか

取水路開渠には海水が入っている。これをそのまま冷却に使って良いかは検討が必要だ。海水の量は20万トン(立米)程度と思われる。数万トンあると言われる汚染水や、原子炉内の冷却水の塩分濃度が問題になる。これらの塩分濃度が高いようだと、淡水を使う必要があるかもしれない。

しかし順調に冷却が出来れば、水蒸気として排出される量が減るので、塩分濃度が上がることは無い。多少失われても、その分を淡水で補充すれば塩分濃度は上がらない。現在取水路開渠の中には2号機ピットから漏れ出した高濃度の汚染水が混ざっている。つまり既に汚染水であり、できればそのまま冷却に用いたい。

○冷却水中の塩分、放射能等を除去出来るか

技術的には可能だ。プールの手前には広い場所があるので、そこに脱塩システムや浄化システムを設置し、プール内の汚染された冷却水を処理することができる。

原子炉内の冷却が海水でも大丈夫なら、まずは海水のままで冷却を開始し、徐々に脱塩して行く方が、汚染水の総量を増やさずにすむ。問題は現在建屋内やトレンチなどにどれだけの汚染水があるかだ。

最近の量は東電の当初の発表よりかなり多い。隠していたのか、気付かなかった分があったのか、増えたのかは不明だが、今公表されているより実際にはさらに多いかもしれない。計算上は16万トン程度は収容出来るが、それ以上あった場合は、除染して外に出すか、港の中の別のエリアに移すなどの処置が必要になる。

○汚染水が大量にある場合の対応

1-4号機の取水路開渠だけでは容量的に不足する場合は、いくつかの対策が可能だ。まず、冷却には1-4号機の取水路開渠だけで充分なので、このプール以外に別のプールを作り、そこに収容するのが第1案。一番簡単なのは5、6号機の取水路開渠を同様に封鎖してプールとすることだ。塞がねばならないのは150メートル程度か。ただ容量はやや小さくなる。容量をを大きくしようとすると、塞がねばならない距離が長くなる。

1-4号機取水路開渠に隣接して三角形に切り取れば、港の機能を維持しつつもう一つのプールを作ることが可能だが、塞がなければならない長さは400メートル程度になる。

港としての機能をあきらめれば、防波堤の入口を塞いでしまえば巨大なプールが出来上がる。ただ、あまり大きいと、表面を覆うのが困難になる。港の機能を維持し、2つのプールを作るのが現実的と思われる。


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プロフィール

川崎重工業人事部・川重米国本社CFOを経てガリレオに参加。ガリレオの業務の傍ら、環境問題、食糧問題に関心を持ち、「電脳自然生活」を目指して有機農業で米、野菜を作る。

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