製品としてのiPadの完成度を考える
2010年6月 6日
iPadを使い始めて1週間。どうにか使えるようになりつつある。自分にとっての使い勝手の検証からはじめて、iPadが、前回書いた僕が考えているような、情報端末ユーザーの裾野を広げる道具になりそうかレポートしてみよう。
○とりあえず使えそうなソフトキーボード
iPadが到着して、最初にトライしたのは、ソフトキーボードを使ってみることだ。実はこの文章の草稿は、到着初日にiPadで書き始めた。キーが少なかったり、ちょっと触ると入力されてしまったり、変換キーが無かったりで、少し戸惑う。
でも慣れればそれなりのスピードで入力できそうで、これまでのPDAとは一味違った使用体験を提供することに成功しているようだ。今のところ個人的に一番大変なのは、ホームポジションに指を置いておけず、ずっと指を空中に浮かせておかなければならないこと。
アンドゥ機能が提供されていないようなので、入力のやり直しが多くなってしまう。それとカーソル移動キーが無いのが厳しい。日本語変換に関しては、Mac OS標準のIMである「ことえり」よりも良くできていると思う。
いずれにしろ、受け取って何の説明も読まずに、ソフトキーボードでメモが書けていることは、それなりに評価出来ると思う。問題に感じている点も、慣れの問題だったり、設定で解決できたりするのかもしれないが、今のところそこまでは追求していない。
○ネットワークにアクセス出来ない
僕のiPadは3G仕様なのだが、これが3G通信をしてくれない。何回やっても「PDP認証に失敗しました」という謎のメッセージが出る。設定を一通り見てみたが解決しない。ネットをチェックしたら、そこら中に同じ問題で苦しんでいる人がいるようだ。細かいことまでは確認していないが、どうやらパソコンのiTunesと同期が取れるようにならないと、ネットワークにつながせない、という設定らしい。
多分少数派だとは思うのだが、僕はiTunesを使ったことが無い。普段使っているパソコンはMacBook Airなので、iTunesがあることはあるのだが、使わないので買って以来アップデートしていない。既に契約して通信料も払っているのに、パソコンとiTunesが無いと使えない、またはそう見える設定は明らかにおかしい。
iPad到着初日は出張していたので、夜家に帰ってくるまでネットには接続できなかった。ところが家に帰ってくると、家の無線LANを勝手に拾ってネットワークに接続している。無線LANでつながせるのなら、3Gでも自動的に接続するようにすべきだろう。
持ち歩くために購入したので、外で使えないと役に立たないので、やむなくAirのiTunesを最新版にアップデートし、iPadをつないでみる。今度はアップルIDなるものを要求してくる。どうなっているんだ。そんなものがあったという記憶はあるのだが、マシンが壊れた時に聞かれるぐらいで、忘れていても修理はしてくれるのでどうなっているかわからない。
一応何でもログは保存しているので、最終的にアップルIDを掘り出すことに成功はしたのだが、これもiPadで遊びたいパートナーがしつこく要求してきた成果。自分だけだったら怒って放置してしまうのは間違いない。
○かなり苦しんだメールの設定
毎日メールベースで仕事をしているので、いつでもメールにアクセス出来ないと仕事にならない。当然iPadでもメールにアクセスしたいのだが、メールの設定も苦労した。
結論から言うと、うまく接続出来ない場合は即座にあきらめてそのアカウントを削除し、アカウントの設定を最初からやり直すのが早い。つながっていない設定と全く同じ設定を一からやり直すと、あっさりつながるのだ。
この症状は僕個人でも再現性があったので、多分設定プログラムのバグだろう。間違った設定を正しく設定し直しても、その設定が適用されないことが多いようだ。
○iPadは使えるのか
キーボードに慣れられるかどうかは、もう少し使い込んで見なければわからないが、文字入力の効率が、本当に重要なことかどうかを考えはじめたのは、僕にとってちょっとした驚きだった。
というのは、過去20年間、ノートパソコンを肌身離さず持ち歩いて来た僕にとって、コンピューターは何より入力端末だったのだ。これまであまたトライして来たPDAに対しても、iPadに対しても、当然入力デバイスとしての性能を要求し、ほとんどの場合に幻滅を味わって来た。
「だった」と書かざるを得なかったのは、1週間ほどiPadを使ってみて、入力より、ブラウジングしたり、楽しんだりすることの方が多いデバイスと考えてもよいかもしれない、と思ったからだ。
とりあえず入力に困らなそうなソフトキーボードがあり、簡単にネットワークにつながるという前提がある。少なくとも、これまで試して来たデバイスと比べて、格段にストレスが少ない。まだいろいろな設定や環境整備が終わっていない現在でも、短期間ならパソコン無しでiPadだけ持ってでかけるようになった。僕にとってこれは大きな変化だ。次回はその辺りをレポートしたいと思う。
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合原亮一の「電脳自然生活」
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