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合原亮一の「電脳自然生活」

環境問題から生き方まで、地球ととことん付き合う方法論を模索する。

大豊作の玉葱に困惑の日々

2009年8月 2日

今年の玉葱はなぜか大豊作

豊作で玉葱が採れすぎて、保管する場所の準備が追いつかないという、困った事態になっている。玉葱作りを始めて10年以上になるが、こんなことは始めてだ。これまでの経験からは、こんな豊作は予想できなかったし、玉葱の保管は結構面倒なのである。

とりあえずそこそこの収穫が出来るようになるまでには、何年かの試行錯誤が必要だった。買った苗は、植える時は立派なのだが、化学肥料ジャブジャブの中で育って来るらしく、有機栽培では自分で作った見るからに貧弱な苗の方が良く育ったり、マルチ栽培でも必ずしも大きくならなかったりと、色々な体験をした。一番大変なのは除草だ。玉葱やニンニクといったユリ科の作物は葉が小さいので、自分で日陰を作って雑草を抑えることができないので、人が取ってやらねばならない。

しかし今年の玉葱の出来は驚きだった。なにしろ昨年までは、玉の大きさが目標の250グラムに達せず、平均すると200グラム以下という小振りの玉葱しか出来なかったからだ。例年と違う要素としては、種蒔きを1-2日早くしたことがある。暖冬だったことは大きいと思う。しかし暖冬も今年だけではない。生育が進みすぎた場合は、抽臺して花が咲いてしまう数が増えるはずだが、実際には抽臺は多く無かった。

追肥が多すぎたのかもしれない。父にお願いしたら、「半分で肥料が無くなったので新しい袋を開けて撒いた」と言っていたからだ。だが過去追肥を多くしてみたときは、それほど収量は増えなかった。そう言えば、例年と大きく違うのは、ペチカで出た灰を大量に撒いたことがある。これも父に頼んでおいたのだが、例によって頼んだ量の3倍撒かれてしまった。灰はアルカリ性なので、アルカリを好む玉葱に良かったのかもしれない。

玉葱が豊作だと何が問題か

収穫を任せていた父や仲間から、玉葱が良くできたという話は聞いていた。ところが今年収穫した玉葱が一部傷み始めていると言う。おかしいと思って見に行ったら、土間に巨大な赤玉葱がゴロゴロ並んでいた。玉によっては500グラムを楽々越える、巨大玉葱がたくさん収穫できたようだ。うーん、これはまずい。ありがたいことではあるのだが、実は玉葱の場合、あまり豊作だと困ってしまうのだ。

普通の野菜と違って、湿気がある土間に置くのもまずい。傷み始めたのはそのせいだったのだ。玉葱の保存には乾燥が一番重要なのだ。それに大きいことも必ずしも良いことではない。玉葱は長期保存に耐え、1度収穫したものが半年以上にわたって出荷されるのだが、あまり玉が大きくない方が保存性が高いからだ。保存には250グラムぐらいの玉が良いとされている。

他の野菜のように、段ボールやコンテナに詰めて積み上げると腐ってしまうので、乾燥するように軒下に吊ったりするわけだが、量が量なので場所が足りない。仕方が無いので平たい籠に玉葱を1列に並べ、籠どうしの間に通風のための隙間が空くように棚に並べた。とりあえずこれで秋までは傷まないだろうが、予定していたように冬まで保存するのは難しくなってしまった。

特に赤玉葱が大きく育っている。赤玉葱は生でも、火を通して普通の玉葱同様に食べてもおいしい。しかし収量が予想の倍で、保存期間が予定の半分になってしまった。置いておくと秋には傷んでしまうので、玉葱を4倍食べなければならない。しかしそんなに食べきるものではない。

ついに野菜を販売開始

今年から仲間と一緒に「菜摘農園」を始めて、自給的農業から一歩踏み出して、耕作放棄地を再生する有機農業を目指している。段々作付け面積が増えて来たので、いずれ生産が安定して来たら販売を始めなければならないと思っていたが、前倒しにする必要があるようだ。とりあえず「菜摘農園」のサイトを立ち上げて、特大赤玉葱の販売を始めることにした。

赤玉葱だけでは寂しいので、野菜の詰め合わせと大豆も掲載してみた。販売と言っても、自給には多過ぎるものの本格的に販売するほどの量でもないという困った状態だが、すべて農薬や化学肥料などの合成化学物質は一切使用せずに育てたもの。限定販売だが関心がある人は一度覗いてみて欲しい。余裕ができたら、栽培状況なども公開したいと思っている。

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プロフィール

川崎重工業人事部・川重米国本社CFOを経てガリレオに参加。ガリレオの業務の傍ら、環境問題、食糧問題に関心を持ち、「電脳自然生活」を目指して有機農業で米、野菜を作る。

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