デザイン・ビジュアライゼーションはこう作る(1)
2008年11月18日
ゲームやエンターテインメントの世界を中心として発展してきたCGの世界で、最近注目されているキーワードが、ビジネスシーンで高品質なCGを活用する「デザイン・ビジュアライゼーション」である。デザイン・ビジュアライゼーションとはいったい何なのか、またビジネスをどのように変えていくのだろうか。デザイン・ビジュアライゼーションの市場拡大を目指し、その活用を積極的に推進する長尾健作氏(株式会社パーチ)にお話をうかがった(全8回)。
──実際に、どういう工程を経てCADデータから広告で使用するデザイン・ビジュアライゼーションになるのか、ざっと説明してもらえますか。
長尾:CADはプロダクトデザイン・設計・製造と3つの工程で利用されているのですが、デザイン・ビジュアライゼーションで利用されるCADデータの多くは、「設計」の工程で制作されたものです。
実際に生産される製品と同じものをCGでも表現しなくてはいけませんから、正確で詳細なCADデータが必要になります。
──CADのデータから3DCGへのデータの受け渡しはどのようにするのですか?
長尾:通常、CADと3DCGのデータは、そのままでは互換性はありません。データをやりとりするための中間フォーマットを利用します。また、オートデスクの3ds MAXでは、AutoCADのデータをそのまま読み込むことができます。
CADの設計データに入っているデータは製品の形や構造を記述したものです。これを読み込むと、このようなワイヤーフレーム画像ができます。
家電メーカーの製品開発時のデザインビジュアライゼーションを想定して制作したサンプル画像(長尾氏提供・以下の図版も同様)
実際にこれをCGにするためには、表面の質感や色を再現しなくてはいけません。この工程が、「マテリアル作成」です。「素材片」と呼ばれる素材を小さくカットしたサンプルを元に、3DCGで質感や色を設定します。
CADデータを元に作成したワイヤーフレーム(上)の上に質感や色を設定することで、製品CGができあがる(下)。
マテリアル作成には大きく分けて2つの設定方法があります。ひとつは、シェーダーと呼ばれる機能を使って陰影を再現していく方法、もうひとつは、テクスチャーマッピングという手法で、本物の素材をスキャンしたり撮影したりしてその画像をワイヤーフレームに貼り付けていく方法です。
3ds Max を利用することで「複数の色、質感、さまざまな角度」の検討が本物と変わらないリアルさで可能になる。
語り手プロフィール
長尾 健作
株式会社パーチ代表。大手制作会社でのデジタル化推進・ビジュアライゼーション事業の起ち上げに携わった後、起業。ビジュアライゼーション事業を推進する企業およびクリエイターのサポートを手がけると共に、市場創造のための講演活動を行っている。
PERCH デザインビジュアライゼーション
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