ネットブックとスマートフォン 〜 情報サイズの行方
2008年10月20日
かなり場違いな感があるのですが、この度ブログをはじめさせていただくことになりました。ウェブにあふれる調査の結果から、見えないものを見ようとしてみるといった趣旨のブログです。ちょっと面白がって、連想ゲーム的にWeb調査や各種統計を楽しんでいけたらと思っています。
10月8日にBCNから、9月の国内ノートPC市場でEee PCに代表される低価格のUMPCのシェアが2割を超えたとのリリースがありました。世界市場を見ると、Gartnerがミニノートブックは2008年で520万台、2012年には2600万台(ベストシナリオでは5000万台)に達すると推計したり、ABI researchが2013年にはUMD(ネットブック+MID)の出荷が2億台を超える(同社推計によれば2008年のUMD出荷は1000万台)との予測を発表したりしています。Acerが自社戦略を語る中で2011年のMID市場は全世界で6億ユニットに成長すると言ったりもしているようです。ネットブック/UMPCと、スマートフォン/MIDはなにかと注目を集めていますが、生活者の扱う情報端末はこの先どんなサイズが主流になってゆくのでしょうか。ABI researchの推計では、現在はUMDというとネットブックが9割ですが、2013年にはMIDが68%に達するとのことです。
MIDといえば国内では初めてそれなりに普及する/したと思われるiPhone 3Gについて、Gfkが「iPhone 3Gの購入実態」という調査を発表しています。同調査によればiPhone 3Gは買い増し需要(2台目としての購入)が全体の47%で、通常の携帯電話の3倍近いとのこと。通話やメール(+ケータイサイト)は今までの携帯電話で、2台目であるiPhoneはネットビューワー(+アプリプレイヤー)として、といった利用がされているのでしょうか。購入層としては、男性7割、50代の購入者が他の携帯よりもちょっと多いようです。
私の周囲のiPhoneユーザーからは、iPhoneを購入してからPCを立ち上げる回数が少なくなったなどの声が聞かれます。私自身はケータイでネットができるようになったときに同じような体験をしました。iPhoneはPCのWeb世界を主に利用してきた世代をある意味ケータイネイティブな世代の感覚に少し近づけたのかもしれません。朝ケータイのアラームをとめてメールをチェックしてから、夜ベッドに入って目を閉じる瞬間まで手のひらで情報と触れ合う感覚です。とはいえ、PCWebとケータイWebはまだまだ別物なのですが。現在はPCでのネット利用がメインのiPhone利用者がほとんどだと思いますが、そのうちに比重が逆転してくるかもしれません。
というわけで、生活者の扱う情報端末、PCの画面サイズはデスクトップからノートになったりUMPCになったり、ケータイに置き換わったりでサイズダウンしてきていると言えますね。一方情報端末化がこれから進むであろうテレビは、数年前と比べると大型化している気がします。やはり映像は大画面? 文字がメインの情報は、手のひらに収まるくらいのサイズがちょうどいいのかもしれません。せいぜいiPhone用サイトの情報量くらいでしょうか。2ちゃんだって10〜50レスくらいでいいです。このブログもあまり長くならないように書いていきたいと思います。
荒川曜子の「それはWeb調査から始まった」
過去の記事
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