ファニーゲームU.S.A. : SSS(サディスティック・ショッキング・サスペンス)
2008年12月20日
※この記事には、若干のネタばれとホラー・サスペンス映画に対する包容力を求められます。
この年末も、多くの映画が公開されます。先行して今年頭にアメリカで公開され、日本でもこの年末公開される映画 「ファニーゲームU.S.A.」はその中でも、異質な一本と言うことができるのでは無いかと思います。
「ファニーゲームU.S.A.」は1997年に「ピアニスト」等で知られるミヒャエル・ハネケ監督によって製作された未曾有のホラー・サスペンス映画「ファニーゲーム」のセルフリメイクです。「ファニーゲーム」はカンヌ映画祭出品時、あまりにも衝撃的な内容に賞賛とブーイングの嵐で、何人もの観客がショックのあまり席を立ったと言われています。意図的に暴力的なシーンの多くは直接的には映されてはいませんが、明らかに残虐なことが起こっていることを観客は理解できます。
劇中での罪の無い家族をいたぶる様に追いつめる感覚には、若干の不条理な不快感さえ感じますが、この感覚をとらえて「SSS(サディスティック・ショッキング・サスペンス)」と位置づけられているようです。ここら辺の不条理な感覚は、監督自身の弁を借りるとすれば「少なくとも私は期待通りの衝撃を与えられる事を願っています。つまり観客が作品に魅入ると同時に自分たちが何をただ受動的に飲み込んでしまっているか、いかに暴力を消費しているかを実感させ、別のアプローチを体感させられないか、と。残虐な暴力は、恐怖感を与えはするけれども決してふれないで済むような方法で提示され、人々に消費されています。私は常に観客に実際に作用し、衝撃を与えられるような方法を模索しているのです。」ということです。ただ、こういう不条理なストーリーが好きという方も結構いると思います。不条理マンガの代名詞「伝染るんです」な感じは想像しないでください。画面はもっとリアルです。
ホラーにもサスペンスにも明るくない僕がこの映画を見て興味深いと思った部分と言えば、作品後半にみられる観客と劇中のある出演者とのコミュニケーション、予告でも見られる「ある」演出でしょうか。メタなその演出自体は、ストーリーと共に見るとなるほどと思わせられます。誰にとってファニーなのか悩ましいタイトルも、この映画はあくまでその出演者目線の作品と考えると興味深いとおもいます。ストーリーとの絡みはネタばれになってしまうので、深くは追えないのが残念なところです。詳しいストーリー、予告は公式サイトでご確認いただければと。
さて、観客にとってはファニーと言うよりもナイトメアなアートだったりする「ファニーゲームU.S.A.」は12月20日に公開です。
内容が、ホラー・サスペンス映画なのでくれぐれも一緒に見に行く相手はお間違えなく。
間違えるとえらいことになりますが、当方ではいっさい責任を負いません。
一方で、ホラー・サスペンス好きの方には、オリジナル版との見比べもお勧めします。
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