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高森郁哉の「ArtとTechの明日が見たい」

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公開2日間は500円:NASA協力のドキュメンタリー『宇宙(そら)へ。』

2009年7月31日

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Photo: NASA

NASAとBBC、英デンジャラス・フィルムズ、米ディスカバリーチャンネルの契約により、これまで未公開だったNASAの冷凍保存フィルムをHD映像化したフッテージも使用し、アポロ計画とスペースシャトル計画を中心に宇宙開発の歴史をたどる98分のドキュメンタリーとして構成した作品。日本版ナレーションは宮迫博之(雨上がり決死隊)が担当している。

アポロ11号の月面着陸とニール・アームストロングらによる月面歩行など、テレビで断片的に目にした映像も多いが、これだけのボリュームの記録を時間軸に沿って概観すると、NASAと宇宙飛行士らの壮大な取り組み、重なる失敗にも屈することのない強靱な精神力、半世紀にわたる科学と技術の確かな歩みを改めて思い知り、圧倒される。

特に1986年のチャレンジャー号打ち上げは、フィクション以上に劇的な展開をみせる。クルーの中には、民間から初めて選ばれた女性教師も含まれていた。家族たちが晴れがましい思いで見守る中、打ち上げが成功し、観客席に歓喜がひろがったその直後。上空でシャトルと打ち上げロケットが大爆発を起こし、乗員全員死亡という悲劇に変わるのだ。なんという残酷なドラマだろう。この爆発事故は、ニュース番組などで繰り返し見たものだが、大スクリーンの鮮明な映像で鑑賞すると今まで以上に衝撃を受け、現場でその瞬間を目撃していた家族らに感情移入して胸が痛んだ。

カメラの技術とフィルムの品質の向上に伴い、船内や船外を撮影した映像がミッションを重ねるごとに次第に鮮明になっていくのもよくわかる。最近のミッションでの宇宙遊泳のシーンでは、漂う宇宙飛行士のバックに青白く輝く地球が精緻に映し出され、ため息が出るほどの美しさだ。

劇場公開は8月21日からだが、21日(金)と22日(土)の2日間限定で鑑賞料金を税込み500円に設定するという、なかなか思い切ったキャンペーンが実施される。家族連れの財布にも優しいワンコイン価格のこの機会に、映画館のスクリーン越しに宇宙へと想いを馳せてみてはいかがだろうか。

[公開情報]
『宇宙(そら)へ。』 原題:ROCKET MEN
監督:リチャード・デイル
製作:デンジャラス・フィルムズ
(c) Dangerous Films (Rocketmen) Ltd. 2009
A Dangerous Films Production in association with BBC Worldwide for Sony Pictures
配給: ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
提供: ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント/博報堂DYメディアパートナーズ
8月21日(金)、TOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国ロードショー
公式サイト:www.we-love-space.jp/

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プロフィール

フリーランスのライター、翻訳者としての活動を経て、2010年3月、ウェブ・メディア・地域事業を手がける(株)コメディアの代表取締役に。多摩地域情報サイト「たまプレ!」編集長。ウェブ媒体などへの寄稿も映画評を中心に継続している。

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