思ったより簡単なPOPサーバの立ち上げと複数ドメインへの対応
2008年4月16日
POPサーバ『Dovecot』の起動と動作確認
前回の記事では、メールを送信するSMTPサーバを構築した。次は、受信用のPOPサーバの設定を行う。ここで使うのは『Dovecot』だ。現在普及しているPOPのバージョンは3であり、このためPOPサーバと呼ばれるよりもPOP3サーバと呼ばれることが多い。SuitePRO V2にはDovecotが最初からインストールされているのでこれを使う。導入が簡単なだけでなく、POP3もIMAPもサポートするサーバだからだ。
さて、まず最初に、メールを使用する(ログインはしないユーザ)taroユーザをサーバへ追加する。useraddコマンドで/sbin/nologinをシェルとして指定することにより、ログインができないようになる。ユーザを追加してからパスワードを設定する。
[root@ns ~]# useradd -s /sbin/nologin taro [root@ns ~]# passwd taro Changing password for user taro. New UNIX password: Retype new UNIX password: passwd: all authentication tokens updated successfully.
次に、taroユーザへメールを出してから、メールがtaroのメールボックスへ到着していることを前述のように確認する。
[root@ns ~]# echo "This is a test mail." | mail -s "Test" taro@ns.example.com [root@ns ~]# ls /home/taro/Maildir/new/ 1139988229.V3a3aI3491b.ns.example.com
サーバでメールボックスへメールが配送されていることの確認ができたら、POP3サーバを起動する。Dovecotの設定をするには「/etc/dovecot.conf」を編集する。安定した動作をさせるために、プロセス数の制限に関係する設定を行う。また、Postfixの設定に合わせて、default_mail_envにMaildir形式のメールボックスを使うことを指定する。ただし、SuitePRO V2のオンラインマニュアルによると、この設定をするとサポート対象外になってしまう。あらかじめ了承しておいてもらいたい。
(略) protocols = imap imaps pop3 pop3s (略) login_max_processes_count = 8 (略) login_max_logging_users = 16 (略) max_mail_processes = 32 (略) default_mail_env = maildir:~/Maildir (略)
以上
設定が済んだら、後はserviceコマンドで開始するだけである。serviceコマンドを実行したら、念のためpsコマンドでDovecotが起動していることを確認しよう。
[root@ns ~]# service dovecot start Starting Dovecot Imap: [ OK ] [root@ns ~]# ps ax | more (略) 13340 ? S 0:00 dovecot-auth 13341 ? S 0:00 imap-login 13342 ? S 0:00 imap-login 13343 ? S 0:00 imap-login 13344 ? S 0:00 pop3-login 13345 ? S 0:00 pop3-login 13346 ? S 0:00 pop3-login (略)
起動の確認が終わったら、メーラを使ってローカルマシンからSMTP/POP3サーバとして動作しているns.example.comへtaroユーザでアクセスしてみよう。メールの取得ができるはずだ。同じようにしてローカルマシンからメールの送信ができるかも確認しよう。SMTP-AUTHの設定を忘れないように。うまくいかない場合は、サーバでメールのログファイルである「/var/log/maillog」を開いて、何が問題か調査して解決する。
動作確認に問題がなければ、OSの再起動時にPostfix、saslauthd、Dovecotが自動起動するように設定しよう。root権限でchkconfigを使い、自動起動したいサービスを設定すればいい。ここではdovecot、postfix、 saslauthdのチェックを[ON]に変更する。
[root@ns ~]# /sbin/chkconfig dovecot on [root@ns ~]# /sbin/chkconfig postfix on [root@ns ~]# /sbin/chkconfig saslauthd on
最後に、変更を確認するためchkconfig --listを実行する。ここでサービスの起動設定の一覧が表示される。2~5がONになっていればOKだ。
[root@ns ~]# /sbin/chkconfig --list dovecot dovecot 0:off 1:off 2:on 3:on 4:on 5:on 6:off [root@ns ~]# /sbin/chkconfig --list postfix postfix 0:off 1:off 2:on 3:on 4:on 5:on 6:off [root@ns ~]# /sbin/chkconfig --list saslauthd saslauthd 0:off 1:off 2:on 3:on 4:on 5:on 6:off
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