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増井俊之×LogMeIn

ユーザインタフェース研究の第一人者が、全世界利用実績7,000万台以上のリモートアクセスサービスを考察する。

第4回 LogMeInの応用(2)

2010年4月12日

(これまでの増井俊之×LogMeInはこちら

パソコンをインターネットに常時接続させている家庭が増えていますが、情報は家の外から中に流れるばかりで、家の中のパソコンに外からアクセスすることはできないのが普通でした。LogMeInを導入すると、ネット上のどこからでも家の中のパソコンにアクセスすることができるようになりますから、現在一般的なやり方と異なる方法でパソコンを活用できるようになります。

他人のパソコンリモートコントロール

自宅の外から自宅のパソコンにアクセスできると様々な点で便利ですが、自宅のパソコンから他人の家のパソコンにアクセスができると、変わった応用が可能になります。他人のパソコンのGUI画面を別の場所から操作する「リモートデスクトップ」機能は昔から様々なものが開発されており、外部からのパソコンサポートなどによく利用されていました。パソコンのGUI操作は聞いただけではわかり辛いものですが、リモートデスクトップ機能を使って、正しい操作を知ってる人が実際に操作するところを見れば理解しやすくなります。

パソコンの操作を教えるというのは日常的なものではないでしょうが、他人のパソコンを気軽に操作することができれば、パソコンに詳しい人がいない環境でもパソコンを利用することができるようになります。いろいろな場所にパソコンとネットワークを設置しておけば、それをリモート操作して活用できるようになります。

「デスクトップの写真アイコンをクリックして写真を眺める」程度の操作ができる人は多いでしょうが、「指定されたURLから写真のアーカイブをダウンロードして解凍し保存する」といった操作はパソコンに詳しい人でないと難しいものです。子供の写真を田舎のおじいちゃんに見せたいような場合、おじいちゃんにダウンロードや解凍のような作業をしてもらうのは難しいかもしれませんが、田舎のパソコンをリモートから操作してデスクトップにアイコンを置いておけば、おじいちゃんは好きなときにそれをクリックするだけで写真を見ることができるでしょう。

リモートからのサポートにより、パソコン操作に詳しくなくてもそれなりに便利に使えるようになります。UstreamやSkypeを設定しておけば、これらをリモートから起動してテレビ電話として使うといった高度なこともできることになります。パソコンを誰もが活用するのは難しいという問題は、リモート操作機能によりかなり解決すると思われます。

パソコンを使いこなしている人の場合でも、リモート操作可能な機械を用意しておくと面白い使い方ができます。たとえば、空いているマシンをリモートから操作可能にしておくことにより、友達に写真を見せるためのデジタルフォトフレームのように使ったりメッセージボードのように使ったりすることができるでしょう。私が運営しているFeedTVというサービスを使えば手持ちの写真やURLのリストを登録して自動再生することができるので、

  • 自分の写真や人に見せたいWebページFeedTVに登録する
  • LogMeInで友達のマシンを操作してブラウザを開く
  • そのブラウザでFeedTVにアクセスして全画面表示する

という操作をすることにより、友達のパソコンをフォトフレームのようにして見せたい写真を表示することができます。スライドショー機能は普通は自分が使うために用意されているものですが、他人に操作してもらうという新しい楽しみ方が考えられることになります。放送のデジタル化によって使えなくなってしまったテレビは、古いパソコンにつないで、デジタルフォトフレームやアンビエントなディスプレイなどとしてよみがえらせるとよいかもしれません。

今回紹介したような利用法はWindowsのリモートデスクトップ機能やVNCなどを使えば可能でしたが、ソフトの導入やルータの設定などがかなり面倒なので、実際こういった使い方をしている人はほとんどいないと思われます。LogMeInの場合は設定が非常に簡単なので、いろいろな家のパソコンを外部から操作する新しい使い方が増えてくると面白いと思います。

LogMeIn
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プロフィール

増井俊之

1959年生まれ。ユーザインタフェース研究。POBox、QuickML、本棚.orgなどのシステムを開発。ソニーコンピュータサイエンス研究所、産業技術総合研究所、Apple Inc.など勤務を経て現在慶應義塾大学教授。著書に『インターフェイスの街角』などがある。

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