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西堀弥恵の「テクノロジーがもたらす快適な暮らし」

海外から発信される日常に応用可能なテクノロジーの話題を紹介。暮らしをより快適にするヒントに。

「ヘコむ」を楽しむ『リグレト』で癒されてみませんか

2009年2月 9日

rigureto.jpg

ご無沙汰しております。

以前の更新から今回までの間に、お約束どおり、カレーのチャンピオンを試してみました。

「やっぱり私はゴーゴーカレーね」と心を決めた矢先、最寄のお店が閉店してしまったことを知りました。完全に油断していました。

さて今回は、株式会社ディヴィデュアルが提供する、「ヘコむ」を楽しむ“一期一会のヘコみにケーション”『リグレト』に着目します。オープンから半年ほどで累計投稿数が100万件を突破し、交わされた「ありがとう」も700万件に到達したそうです。

早速、筆者のヘコんだことを打ちあけてみました。

『最寄のゴーゴーカレーが閉店していたわー』

このヘコみを30分ほど泳がせていたら、心温まる「なぐさめ」の言葉が次々と・・・

「旅先でゴーゴーカレー見て、食べたかったけど年始休みだった…閉店はもっと切ないね」
「どんまーい」
「その残念さ、わかるぅ。慣れるまで我慢ですね。寂しいけど頑張って」

さらに、いくつか思い当たるヘコみを投稿してみましたが、予想以上に効果的ななぐさめを受けました。相手は何も事情を知らない、言わば表面的ななぐさめである可能性が高いのは知りつつも、じわじわと癒されていく・・・。迷わず「ありがとう」を送っておきました。

また、そのどこかの誰かさんになぐさめてもらった後は、自発的に、自分もヘコんでいる人をなぐさめたいような気持ちに駆られました。ウェブ上で交わされたのは、単に言葉だけのはずが、なぜ癒し効果、あるいは正の連鎖が生み出されたのでしょう。

通常の占いサイトなどでは、インプットしたデータに従い、機械的に診断結果が表示されるだけです。しかし、リグレトから得られるなぐさめは、正真正銘、実際に生身の人間から自分だけに発せられた言葉だ、というところが大きな効力を発揮しているのかもしれません。

ところで、このウェブコミュニティでは匿名であるにもかかわらず、炎上が起きていないのでしょうか。どの投稿への返事にも優しいなぐさめの言葉が綴られています。もちろん、迷惑投稿通報システムは備わっているのですが、それだけで抑止効果を維持しているとは信じ難いです。

もしかしたら、この癒し系キャラクター「ヘコミン」と、ほっこりする柔らかいユーザーインターフェースが功を奏しているのかも。特徴的なのは、一般的な投稿のように、スレッドを立てることもせず、その投稿に関する返信のみを受け付け、その返信に対する返信は受け付けていないところです。

ヘコミンやなぐさめ文がアトランダムに動き回る状態で、もし、ある投稿に関して議論したくても、それがどの投稿に対する反論なのかを特定させること自体が現実的に困難です。天才的なデザインですね。

種類は異なりますが、ただひたすらに「あなたは今、何をしているところですか?」という質問に対して、答えを羅列していくTwitterも興味深いですね。ちなみにこちらはオバマ大統領もユーザーだとか。

近ごろは、Web上の言葉のキャッチボールで議論を戦わせて不毛な汗をかくよりは、「気軽で後腐れのない一期一会のやりとり」、即ち、観客の声援付きバッティングセンターやゴルフの打ちっ放しで、少し汗ばむ程度の運動をするくらいが心地よいのかもしれません。

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プロフィール

NTTグループ会社の社長秘書を務めた後、ガリレオの日英翻訳に参加。子供の頃の趣味はオルゴールを分解しては組み立て直すこと。仕事で携わっている京都新聞の記事翻訳がきっかけで日本の伝統文化に興味を抱き、自らも「座禅」や「書」に傾倒する。一方、溝口恵美子氏に師事し、ニューヨークのハーレムでセッションに加わるなど、ジャズシンガーとしても勉強中。